糖尿病と癌の関係

2018-05-18

日本人の2人に1人が癌になり、6人に1人(2017年の推計では約2000万人)が
糖尿病やその予備群と推計されています。
今や癌と糖尿病はそれぞれ国民病と呼ばれる身近な病気です。
一見、全く関係がなさそうなこの2つの病気ですが、
日本人の糖尿病患者の死因で最も多いのは癌です。
したがって、糖尿病患者は、定期的に癌の検診も受ける必要があります。

日本糖尿病学会と日本癌学会の合同で結成した「糖尿病と癌に関する委員会」が
2013年5月に行った報告では、糖尿病の日本人はそうでない日本人に比べて、男女共に1.19倍
(男性の95%信頼区間1.12-1.27、女性は同1.07-1.31)、
癌に罹患するリスクが高いとされています。
特に、結腸癌になるリスクは1.4倍(同1.19-1.64)、肝癌は1.97倍(同1.65-2.36)、
膵癌は1.85倍(同1.46-2.34)も高いことが分かりました。
また、統計学的に有意ではなかったものの、
子宮内膜癌(ハザード比1.84、95%信頼区間0.90-3.76)、
膀胱癌(ハザード比1.28、95%信頼区間0.89-1.86)で
リスク上昇の可能性が示されています。他の癌種では関連は見られませんでした。

暴飲暴食や心身のストレスもなく、特に思い当たる原因がないのに、
なぜか血糖コントロールが悪化してきた場合には、
癌が隠れている場合がありますので、
腹部超音波検査や大腸内視鏡検査などによる精査を検討しましょう。

癌と関連があるのは主に2型糖尿病です。加齢、男性、肥満、運動不足、不適切な食事
(赤肉、加工肉の摂取過剰、野菜・果物・食物繊維の摂取不足)、過剰飲酒、喫煙は、
2型糖尿病と癌に共通する危険因子であり、
そうした生活習慣がある糖尿病患者に癌の発症が多いのは、
ある意味当然のことでしょう。ですが、生活習慣以外にも2型糖尿病の
高インスリン血症、高血糖、炎症が癌の発症につながっていることが示唆されています。

2型糖尿病では、ブドウ糖を筋肉や脂肪に取り込むホルモンであるインスリンの働きが悪くなるため
(インスリン抵抗性)、膵臓が大量のインスリンを分泌します。
つまり、インスリン抵抗性によって、高インスリン血症になります。
高インスリン血症は、インスリン様増殖因子(IGF)結合蛋白を減少させ、
結果としてIGFの活性を上昇させて細胞増殖や、
アポトーシスの抑制など癌の発生・進行を誘導します。
また、インスリンは肝臓でエストロゲンの1種であるエストラジオールを
増加させる作用を持っており、子宮内膜癌につながる可能性も推測されています。

高血糖自体が起こす「慢性の炎症」が、癌を引き起こしているとの説もあります。
肥満(特に内臓肥満)により、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンが低下することで、
インスリン抵抗性が進行するためです。

他にも、肝癌リスク上昇の原因として、糖尿病の人に多い脂肪肝との関連が指摘されています。
脂肪肝とは肝臓の30%以上が脂肪化している状態で、自覚症状はありません。
これまで日本人の肝癌は、B型・C型肝炎ウイルスまたはアルコール性肝炎が原因の人が多かったのですが、
最近は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)から肝硬変、そして肝臓癌になる人が増えています。
すなわち、食事療法、運動療法、禁煙、節酒、そして薬物療法で、
血糖値を良好にコントロールすることが癌のリスクの軽減にもつながるのです。

当院では循環器疾患を中心に生活習慣病である高血圧、脂質異常症に加え
糖尿病治療にも非常に力をいれています。

同時に癌のリスク検査などもとりいれ早期発見に注力していますので
お気軽にお問い合わせください。

参考:日経メディカル 岩岡秀明先生(船橋市立医療センター代謝内科部長)

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