新規抗インフルエンザ薬 ゾフルーザ

2018-12-26

いよいよインフルエンザの季節となってきました。

インフルエンザの治療薬に今年3月に塩野義製薬から1回飲みきりの新薬
ゾフルーザ錠が発売になりました。
当院でもいち早く導入し、現在までに処方を行ってきております。

ゾフルーザは、これまでのインフルエンザ治療薬(タミフルリレンザ〔一般名:ザナミビル〕、
イナビル〔一般名:ラニナミビル〕、ラピアクタ〔一般名:ペラミビル〕)とどう違うのでしょうか?

まず作用機序(メカニズム)が、これまでの薬と全く違います。
これまでのインフルエンザ治療薬は、ノイラミニダーゼ阻害薬
呼ばれる種類の薬で、感染した人の細胞の中で増殖したインフルエンザウイルスが、
他の細胞に広がるのを抑える作用がありました。

一方、ゾフルーザには、ウイルスの増殖そのものを抑える働きがあります。

ゾフルーザの効果は非常に高いといえます。
インフルエンザを発症した後、熱や咳、鼻水、節々の痛み、疲労感などの
症状がすべてなくなるまでの時間(罹病期間)についていうと、
ゾフルーザはプラセボ(偽薬)より中央値で1日余り早く、
タミフルとの比較では同等という結果が出ています。
罹病期間ではタミフルとの差が出ていませんが、ゾフルーザはインフルエンザの主症状である
『きつい、つらい』症状に関して、従来の薬よりも『早く楽になった』と話す患者さんが多い印象です。

その理由として作用機序の違いが考えられています。
ゾフルーザには、インフルエンザウイルスの増殖そのものを抑える作用があるので、
ウイルスがなくなるスピードが速いのです。
ゾフルーザを投与すると、丸一日で半分の人のウイルスがなくなります
これまでの薬の中で最もウイルスの消失が早いラピアクタでも、
3日で80%の人のウイルスがなくなる程度ですから、かなり早いスピードです。
患者さんの中には、昼に当院を受診してゾフルーザの処方を受け、
翌朝には『楽になりました』と話す人もいます。

ただ、今後タミフルのように耐性株が増えるとの予測もあり、
吸入薬も適正に使用していかねばなりません。

もうすぐインフルエンザの本格的な流行シーズンを迎えます。

当院では高齢者で、心不全などの心疾患や糖尿病、高血圧や肺気腫など
様々な基礎疾患をお持ちの方がおりますので、インフルエンザの予防はもちろん
罹患した時の速やかな検査、適切な治療を行っていくことに全力を尽くしたいと思います。

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