院長ブログ
深部静脈血栓症(DVT)
先日は鹿児島医療センターで行われた
第14回城山循環器カンファレンスに出席してきました。
三重大学循環器腎臓内科学の客員教授である
中村真潮先生の静脈血栓症の新しい治療というタイトルがメインの
講演でした。
ワーファリンという抗凝固薬は古くからありますが、以前当院ブログでも
述べさせていただきましたが、数年前より新しい抗凝固薬が登場してきました。
現在、プラザキサ、イグザレルト、エリキュースが
非弁膜症性心房細動という疾患に適応症を取っており、
最近あらたにリクシアナという薬剤も同疾患に適応を取得しました。
深部静脈血栓症は下腿や大腿などの深部静脈に血栓ができる
病気で、下肢に腫脹が認められる場合に血液検査や、
静脈エコーを行うことで診断が確定します。
放置していると、肺動脈血栓塞栓症という、場合により死に至る
疾患を発症することがあるため、抗凝固療法などを行い
血栓を溶解したり、再発予防を行うのです。
講演会では、新しい抗凝固薬による今後の治療について
わかりやすくお話をされました。
リクシアナという抗凝固薬はワーファリンと比較した
Hokusai-VTE試験という多施設、二重盲検試験にて
ワーファリンと同等かそれ以上の血栓予防効果を認め、
且つ重篤な出血性合併症は少ない傾向にあったことが示されました。
ワーファリンは肺血栓で入院し、静脈血栓を認めた際に
ヘパリンという抗凝固薬の点滴と併用して導入し、PT-INRという
指標にて細かく調整する必要性がありましたが、リクシアナが
登場したことにより、患者さんの精神的、肉体的負担を軽減することが
できるのです。
今後は他の抗凝固薬も適応取得予定のようですのでさらに
選択肢が広がることになります。
当院ではすべての抗凝固薬を採用いたしておりますので
患者様に十分な説明の元、新しい抗凝固薬かワーファリンかを
納得して選択してもらうようにしています。
また、むくみ防止の治療用ストッキングなども取り扱っています。
下肢のむくみがある方は一度、循環器科を受診することを
お勧めします。
厚生労働省のページも参考にされてください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster_2.html
糖尿病と循環器疾患
すっかり春めいてきましたね。
ただ、まだたまにインフルエンザの患者さんが散見されます。
感染症対策は引き続き行いましょう。
先日は内科医会の学術講演会に出席してきました。
最初の症例報告では、出水総合医療センターの楠元孝明先生が
循環器医から見た食後血糖の重要性という演題で発表されました。
循環器疾患、なかでも狭心症などの虚血性疾患は、糖尿病が
大きなリスク因子となりますが、食後血糖が高いと
血管内皮機能の低下を来すという報告でした。
最近はEndo-PATやFMDといわれる内皮機能の検査が
徐々に臨床の場に導入されつつあります。
動脈の血管内皮機能と血糖変動の関係は、虚血性心疾患や
脳卒中などの疾患の最近のトピックスでもあります。
当院では、アンチエイジングの観点などから、早期に内皮機能検査として注目し、
導入を検討していましたが、今回医療保険での検査が可能になったこともあり
最新機器の導入をあらためて検討しています。
ちなみに、糖尿病患者さんでなくとも採血でのヘモグロビンA1cという指標は、
過去1-2か月の血糖コントロールを反映するというのことはご存知の方も多いと思います。
1.5AGという、ごく最近の血糖コントロールの指標をご存知ですか?
もともとは、過去数日間の血糖コントロールの指標として用いられてきました。
しかし最近では、1日の血糖値のばらつき、
すなわち、血糖の日内変動幅をある程度予測できることが
可能であるということを、学会や講演会などの場などで
ディスカッションされろことが多くなってきています。
たとえば、HbA1cの数値は同じでも、1日の血糖の変動幅が小さいほど
動脈硬化疾患(狭心症、心筋梗塞の予防など)
については予防としては質の高い治療ではないかということがいわれています。
当院でも、薬剤の選択や効果の判定のためなどに時に1.5AGの測定を行っています。
もちろん一番重要なのはHbA1cでのコントロール指標です。
当院では、薬剤変更時などには、1.5AGも測定を行うなど
質の高い糖尿病治療を行い、循環器疾患の代表である
虚血性心疾患、脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクを、
少しでも減らしていけるようにこれからもますます研鑽、
努力していく所存です。
また、メインの特別講演では、
東邦大の弘世貴久教授の食後高血糖のお話でしたが、
食後高血糖の重要性を述べておられました。
当院でも、当初から、採血をする際、
食後高血糖を見逃さないようにと、
食前、食後とあらゆる時点での採血を行ってきました。
どのような食事の内容での後の採血であるかなど、
その患者様に詳しく問診することで、患者様の
オーダーメイドとなれるような治療を心掛けるように努力しています。
当院では、院内にて迅速に随時血糖、HbA1cを測定し、その場で詳しい治療方針などの
説明を行っていますので血糖値が気になる方、家族歴があったりと、
糖尿病や境界型糖尿病などが気になる方など、幅広く対応いたしますので
お気軽に当院にお問い合わせください。
ちなみに1.5AGについてはこちらを参考にされてはいかがでしょうか。
http://medical-checkup.info/article/42306096.html
舌下免疫療法 シダトレンの経過報告
現在は鹿児島でも花粉が飛散しています。
皆様、花粉症対策を行っていますでしょうか?
抗アレルギー剤もディレグラという、アレルギー性鼻炎に
特化した内服薬も登場し、非常に効きめがよいので
私もよく服用しています。
(ただし高血圧の方は服用できません)
さて、いわゆる舌下免疫療法、シダトレンが
昨今メディア等にて取り上げられているようです。
当院では今シーズン十数名に治療を導入し、
定期受診されていますが、経過は非常に良好のようです。
今年はまだ抗アレルギー剤を使用せずに
すんでいる方などから感謝されると非常に
うれしく思いますし、導入して本当によかったと思います。
今シーズンは始められなかった方も
来季前に治療を検討されてはいかがでしょうか?
インフルエンザ診断
現在インフルエンザが流行しています。
特に循環器疾患や呼吸器疾患などを抱えている方には
より早期の的確な診断と治療が必要となります。
インフルエンザの疑いがあれば、すぐに検査を受けるのが良いように思われますが、
実はそうではありません。早過ぎると正常な結果が得られず陰性となることがあります。
しかし、インフルエンザ発症の診断が遅れると、
症状が悪化したり、薬が効きにくくなったりします。
つまり、早すぎても遅すぎてもいけないということです。
ではどのタイミングで、検査を受けるのがいいのでしょうか?
簡易検査キットにて正常な診断結果を得るためには、
インフルエンザ発症から、ある程度時間を開けないといけません。
インフルエンザの発症から検査まで間もないと、
例え陽性でも、陰性という結果になりやすいのです。
具体的な時間としては、
インフルエンザ発症から24時間の間隔が必要と言われています。
タミフル、リレンザ、イナビルなどの、抗インフルエンザ薬は、
発症から48時間以内に処方されないと効果が薄くなる
という性質があります。
なので、検査の結果の正確性を重視するあまり、
発症から検査まで時間を開け過ぎるのもいけません。
早過ぎるとインフルエンザなのに陰性と判断され、
遅すぎると抗インフルエンザ薬の効き目が落ちてしまうのです。
そこで当院では、新たなイムノクロマト法を高感度化する
技術を導入した富士ドライケムIMMUNO AG1を導入いたしました。
この装置により標識に用いる金コロイド粒子を100倍に増幅する
ことにより検出感度を向上させています。
詳しくはこちら:http://and-fujifilm.jp/virus/movie.html?_ga=1.219645017.1560933099.1421451810注:クリックで音が出ます。
具体的には発熱数時間でも検出可能となっています。
ですから、早期のインフルエンザ診断が可能ですので安心して受診していただけます。
あと、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、
A群β溶連菌やRSウイルスなどの診断も可能ですのでいつでもご相談ください。
レビー小体型認知症
寒い日が続きますね。
感染症予防されていますか。
先日、認知症と動脈硬化症についての講演会に出席しました。
伊敷病院の植村先生が認知症についての講演をされましたが
今回は認知症について考えてみたいと思います。
この超高齢化社会では、認知症の増加が大きな社会問題に
なっています。
当院もグループホームを隣接していますので認知症の方が入所されております。
認知症の原因疾患としては
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などが
大半を占めます。
今回は1割程度に認められるとされるレビー小体型認知症について
考えたいと思います。
ドイツの神経学者 フレデリックレビーによって発見された疾患で
症年齢は60~80歳台の初老期と老年期に多く
性差は少ないがやや男性に多いとされています。
多くは孤発性であり家族歴を持つものは稀といわれています。
昨年アリセプトという認知症治療薬が適応を
取得しており、アルツハイマー型認知症に比し、比較的薬剤の
効果が出やすい疾患です。
ですから、疾患について知っておくとよいと思います。
同疾患は、認知機能の低下はありますが、初発症状として、意欲の低下、
うつ症状などがあり、うつ病などが鑑別として必要なことがことがあります。
on、offといいますか、症状に波があるのも特徴といわれており
感情的にも波があることが多いようです。
生々しい幻覚を伴うことがあります。
たとえば目の前に蛇がいるので先生逃げてくださいと叫んだ方もおられました。
また、パーキンソニズムを伴うこともあり、動作の低下、震えなどの
症状がみられることがあります。
治療は先述のアリセプトのようなコリンエステラーゼ阻害薬や
NMDA受容体拮抗薬が用いられます。
当院では、診断のため近隣の物忘れ外来などに紹介を積極的に行っており
アルツハイマーやレビー小体型や血管性認知症など診断を
行っていただくようにしています。
その後は当院で治療を継続している方が多数いらっしゃいます。
もし、ご家族に疑いのある方がいらっしゃいましたら、
いつのでもお気軽にご相談くださいね。
認知症についてのサイトがありますので参考にどうぞ。
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html
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くわはたクリニック
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