脂肪肝について
先日開催された欧州肝臓学会国際肝臓学会議2023で、
これらの名称が変更されることが発表されました*1。
その理由として、”alcoholic”や”fatty”という単語が
”飲んだくれ”や”肥満”という意味を含んでおり、
患者さんの大半が非難されていると感じていることが挙げられています。
MAFLDとMASH
原因に関わらずすべての脂肪肝を表すものを”SLD(steatotic liver disease)”としました。
また新たな名称としてNAFLDはMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)へ
NASHはMASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)への変更が望ましいと提案されました。
“metabolic”とは”代謝性”という意味で、脂肪肝には糖尿病や脂質異常症、肥満、高血圧など
代謝性の疾患が合併することが多く、MAFLDやMASHの定義は
これらの代謝異常が合併している脂肪肝であることです。
MAFLDとNAFLDの違い
MAFLDとNAFLDは名前が変わっただけではありません。
NAFLDの定義は
① 脂肪肝がある
② アルコール摂取歴がない(エタノール換算男性30g/日以下、女性20g/日以下)
③ 他の肝疾患原因がない
でしたが、MAFLDの定義は
① 脂肪肝がある
② BMI 25以上(日本を含むアジアでは23以上)または
糖尿病、または代謝障害があるもの全て
アルコール歴、他の肝疾患原因の有無は問わないとなっています。
このためこれまでエタノール摂取量60g/日以上が診断基準であった
アルコール性肝障害にもNAFLDにもあてはまらなかった、
中等度の飲酒者もMAFLDに分類されるようになり、これらを特に
MetALD(Metabolic alcoholic liver disease)としました。
その他の脂肪肝
脂肪肝のうち、NAFLDで代謝異常や原因となるような疾患もないものはcryptogenic SLD,
薬物性,Wilson病などに起因する場合はspecific aetiology SLDと診断します。
以上は海外での動きです。日本でもこの新たな分類に沿って消化器病学会*2や
肝臓学会*3が「NAFLD/NASH 診療ガイドライン」を改訂するとの声明を発表しました。
今後はNAFLDやNASHではなく、MAFLD・MASHが使われるようになるかもしれません。
出典
*1: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37364790/
*2: https://www.jsge.or.jp/news/archives/733
*3: https://dx-mice.jp/jsh_cms/files/info/1328/20230929%E3%80%80oshirase62.pdf
診療内容
くわはたクリニック
所在地
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