家族性高コレステロール血症

2016-06-29

梅雨のじとじとした日が続きますね。

先日はレパーサというコレステロールを下げる注射の新薬の
研究会に出席してきました。

家族性高コレステロール血症という疾患をご存知ですか?

生まれつき血中の悪玉コレステロールであるLDL(Low density lipoprotein)コレステロールが
異常に増えてしまう病気、病態です。
LDLコレステロールというのは、肝臓の細胞表面にあるLDL受容体と呼ばれる蛋白によって
細胞の中に取り込まれ、壊されます。
家族性高コレステロール血症は、LDL受容体の遺伝子やこれを働かせる遺伝子に異常があり、
血液中のLDLコレステロールが細胞に取り込まれないで、血液の中に溜まってしまう病気です。

私たちの遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが 一組となって出来ています。
LDL受容体やその働きに関わる遺伝子に、この両方に異常がある場合をホモ接合体と呼び、
いずれか一方のみに異常が認められる場合をヘテロ接合体と呼びます。

家族性高コレステロール血症ホモ接合体の患者さんは、血清総コレステロール値が
生まれつき非常に高く、通常、450 mg/dlを 超えることが多いです。(健常人は120~220mg/dl)
このため、適切に治療がなされないと、幼い頃から動脈硬化が進行して、
小児期に心筋梗塞などの命に関わる病気を発症するのです。

以前当院にも17歳の兄が心筋梗塞で死亡した妹さんが受診されたことがありましたが
妹さんも高コレステロール血症を発症しておりましたので診断に至ったことがあります。

この病気の患者さんは100万人に1人、日本においては120人程度とされていましたが、
この病気にかかわる遺伝子が見つかってきており、
それよりもっと多いといわれてきているのです。
最近の知見ではホモは620人に1人、ヘテロは300人に1人ほどではないかといわれてきており
遺伝子であるPCSK9の変異が原因といわれ、日本人には多いこともわかってきています。

家族性高コレステロール血症ホモ接合体は、父親と母親の両方に高コレステロール血症が
ある人に多いといわれ悪玉コレステロールであるLDLを代謝する、
LDL受容体やそれに関わるPCSKなどの遺伝子に異常があり、
LDLが肝臓で代謝されないで血液中に長時間残ってしまい、
動脈硬化を引き起こしてしまうことがわかっています。
家族性高コレステロール血症ホモ接合体は、LDLがほとんど代謝されず、
ヘテロ接合体は、LDLが健常人の半分程度代謝される病気です。

両親がともに家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体の場合、
1/4の確率でホモ接合体の子供が生まれます。
両親のいずれか片方がヘテロ接合体である場合、1/2の確率でヘテロ接合体が生まれます。

家族性高コレステロール血症ホモ接合体は、10歳までに肘や膝などの皮膚に黄色腫と呼ばれる
黄色い疣状の塊が見られることが多いといわれます。
成長とともに、結節状にもりあがった黄色腫が認められるようになります。
肘や膝、手首、おしり、アキレス腱、手の甲などに多く認められます。
大動脈弁や冠動脈に動脈硬化が進行すると、階段を上がると胸が痛い、苦しなどの
症状が出ることがあります。
ヘテロ接合体では、重症例で皮膚の黄色腫が見られることがありますが、
10歳以後におきることが多いとされています。

治療としては食事療法(低脂肪・低コレステロール食)、
運動療法に加えスタチン製剤をはじめとする脂質低下薬により治療を行います。
単剤では効果が十分でない場合が多く、治療目標に達しなければエゼチミブ、
プロブコール等を追加します。
それでも効果が足りない場合に、LDLアフェレ-シスという透析のような治療法があります。
LDLアフェレシスは、体外循環を用いて悪玉コレステロールである
LDLを取り除くことができる治療法です。
機器を用いて血液から悪玉であるLDLを直接除去する方法で、
腎不全の患者さんに行う人工透析装置に似た機械を用います。
1~2週間に1回の頻度で、一生、続けなければなりません。
ベッド上で治療の時間中、安静にできるようになる4 歳~5歳には
治療を始めることが望ましいとされます。
治療の開始が遅れれば遅れるほど動脈硬化は進行してしまいますので
診断、治療を速やかに行なう必要があります。
LDLアフェレシスなどの適切な治療を行わない場合、
予後は極めて不良なのです。

しかし今回レパーサ注が出現してきたことで、アフェレーシスなど経済的にも肉体的にも
大変な治療から患者さんが解放される可能性が高く、
医療費が削減できることが期待されているのです。

また、最近の知見では冠動脈疾患を発症した二次予防の患者さんの
脂質管理目標の達成率は62%程度といわれており、
今後この薬剤がハイリスクの患者さんの二次予防に役立つことが期待されています。

当院でも高血圧をはじめ、高コレステロール血症(高脂血症、脂質異常症)の患者さんが
たくさんいらっしゃいます。
当院では管理目標にくわえ、頸動脈プラークの測定など患者さんの脂質管理の評価を
しっかりと行い、丁寧に食事や運動の指導を行った上で
必要ならスタチンなどでの治療を行っています。

高脂血症、高コレステロール血症を指摘されたり、治療に疑問のある方などの
セカンドオピニオンも積極的に行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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